- 2010-08-22 (日) 15:36
- テスト
機械による翻訳の困難さのひとつは、それが文法や単語の意味の解析といった論理的処理だけでは解決しない点にもある。たとえば次の英語の文は、
Time flies like an arrow.
普通はこれを「時は矢のように飛び去る」(光陰矢のごとし)と解釈するが、これを「時間蠅は矢を好む」と訳することも可能で、文法的にも破綻がない。当然、普通は後者は間違いなのであるが、後者を捨て去る判断ができるためには、人には時が素早く過ぎると感じられることがあること、矢は速く飛ぶこと、時間蠅という生き物は存在しなさそうなこと、虫が矢を好むことなどありそうにないこと等の知識が必要である。極論すれば、正しい翻訳を行うためにはその文がかかわる世界そのものに関するあらゆる知識や感覚が必要になる。また、ありそうにない時間蠅も、たとえばルイス・キャロルなら存在させるかもしれず、問題はより複雑になる。
さらに、翻訳が可能なのは、互いに人間同士、ほぼ同じ世界観の中で生きていることが前提であるが、細部においては異なる例もある。例えば日本ではリンゴは赤いものであるから、「リンゴのようなほっぺ」と言えば、健康的な赤らんだ頬を想像するであろう。しかし、フランスではリンゴは緑なのが基本であるという。とすれば、そこで「リンゴのようなほっぺ」が直訳された場合、明らかに同一の意味を持たせられないであろう。
逆に言えば、世界観や関連する知識体系が共通することを前提とすれば、機械翻訳はより簡単となる。例えば事務関係とか、商業用、あるいは観光関連などでは実用的な機械翻訳もより実用的に使われる。
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